長谷川潔
長谷川潔(はせがわきよし)
フランスを拠点に多くの名作を残した銅版画の巨匠
フランスで銅版画のさまざまな技法を独学で研究し、妥協を許さない制作態度で完成度の高い珠玉の名品を生み出した。特に当時ほとんど忘れ去られていたマニエール・ノワール(銅板に細かな傷を刻み、その部分を刷り豊かな黒色に仕上がる。)を復活させ、これを近代的芸術表現にまで高めたことは、きわめて重要な業績です。
第二次世界大戦の勃発時もフランスを離れず、パリの自宅で89歳で生涯を閉じたが、渡仏してから一度も日本へ帰ることはなかったそうです。 では、そんな長谷川潔について当ギャラリーの見解をお伝えさせていただきます。
黒と白の静謐で抒情豊かな世界
やはり後期によく制作されたマニエール・ノワールの技法の作品が人気です。初期にもマニエール・ノワール作品はありますが、年代を経るごとに独特の「黒の世界」を深めた。作家自身の幼少期の体験や性格だけでなく、当時の世界情勢も大きく影響しているとも言われる。
古典的版画技法を駆使して
主な作品種類はマニエール・ノワール、エッチング、ポアント・セッシュ(ドライポイントとも同義。小刀で彫られた線に沿ってできる金属のめくれ(バーとも)にインクが残って、刻線に独特のにじみの効果をつくる技法。)、油彩など。
長谷川潔 作品
≪瓶に挿した種草≫
≪裸婦≫
≪窓辺卓子≫
長谷川潔 略歴
明治24年(1891)-昭和55年(1980)
神奈川県に生まれる。
1911年 | 黒田清輝から素描を、12年には岡田三郎助、藤島武二から油彩を習う。この頃から木版画を始める。 |
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1913年 | 文芸誌『仮面』の同人となって、表紙、口絵などを作る。 |
1916年 | 永瀬義郎、広島晃甫と共に日本版画倶楽部を結成する。 |
1923年 | サロン・ドトンヌに出品。 |
1926年 | パリで初の個展を開く。 |
1935年 | レジオン・ドヌール勲章を受ける。 |
1945年 | 敗戦でパリの監獄に1ケ月収容される。 |
1960年 | サロン・ナショナル・デ・ボザール版画賞を受賞。 |
1966年 | フランス文化勲章を受ける。 |
1967年 | 勲三等を受ける。 |
長谷川潔 代表作品
- ≪狐と葡萄≫
- ≪メキシコの鳩≫など
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